IT(情報技術)大手の米ヒューレット・パッカード(HP)は1日、今後数年間に世界で100カ所以上あるデータセンターを半減し、余剰人員9000人程度を削減すると発表した。顧客企業のデータを管理する同センターの運営は収益の柱の一つだが、拠点が多く運営効率が低いなどの課題があった。最新鋭の設備を導入して1拠点あたりの処理能力を高め、収益力を強化する。
拠点の集約や設備更新に約10億ドル(約910億円)を投じる。拠点数は半減させるが1拠点あたりの能力が高まるため、データセンター運営などを主力とする企業向けサービス部門の売上高は「業界平均よりも高い増加率を実現できる」(アン・リバモア上級副社長)としている。
余剰人員削減は主に、拠点集約に伴う自然減で対応する一方、企業向けサービス部門では営業などを中心に約6000人の増員を計画。一連の措置により、2013年までに年間5億~7億ドルのコスト改善効果を見込んでいる。
HPは2008年に企業向けITサービス大手の米エレクトロニック・データ・システムズ(EDS)を買収、同分野の強化に乗り出した。同日のアナリスト向け電話会見でリバモア副社長は「EDSとの統合は予定より早く進んだ」と説明。今回の拠点集約や人員削減については「企業向けサービス部門の水準を上げるためのさらなる機会」と位置付けた。
HPの2010年2~4月期決算は純利益が前年同期比28%増の22億ドルと、2~4月期としては過去最高だった。営業利益は22%増の 34億6200万ドルで、このうち4割近くを企業向けサービス部門が占めた。同部門の売上高営業利益率は16%と既に全社平均(11%)を上回っているが、設備更新や人員削減により収益力をさらに高める。
日経新聞
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