2010年4月16日金曜日

今年のインド成長率、8.2%:ADB予想

 アジア開発銀行(ADB)が13日に発表した「2010年アジア開発見通し」で、08年度6.7%だったインドの経済成長は09年度、迅速な財政・金融刺激策、世界経済環境の改善、投資家のリスク資産志向の復活、大規模な資本流入などを背景に7.2%成長を達成し、10年度には8.2%、11年度に 8.7%へと拡大すると予想している。ただし、政府は景気回復に努める一方、物価上昇圧力の問題を抱えることになるだろうと警告している。

 成長率が高まる一方、09年の降雨不足と洪水に伴う食糧価格の上昇、さらには今年から来年にかけて燃料価格が上昇する可能性が懸念材料。インドは農業セクターが弱いことと、インフラ面でのボトルネックが長期的な成長の妨げとなっている。インドのインフレ率は10年度5.0%、11年度5.5%と予想している。

 ADBは、食糧価格を抑制し、落ち込んだ農業生産量を底上げするには、生産者価格の値上げや、流通・取引、農業関連の研究、補助金による規制を見直すといった措置が必要と指摘している。インフラ面においても政府の施策が必要だが、財政健全化の一環としての補助金抑制が見込まれており、官民連携による追加投資が必要となるだろう。

 インドは過去2年間、大幅な財政赤字に陥っており、政府は終始改善意向を表明、10年度の対GDP比は09年度より1.2%ポイント低い5.5%を目指すとしている。11年度には、新たな直接税制の導入、物品・サービス税の国税化などを通じて、さらに4.0%まで下げると予想しているが、インフレ再燃を回避しつつ景気回復が腰折れすることのないよう、財政・金融調整実施のタイミングには慎重さが求められるとしている。

 輸出入は09年度後半に底を打っており、世界経済の回復に伴って今後持ち直すとみられる。輸出については、10年度に16%、11年度に12%、輸入は10年度に20%、11年度に18%増加すると予想されている。(10年4月13日、アジア開発銀行駐日代表事務所発表から)

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