2010年5月7日金曜日

米デル、消費者向け部門はシェア拡大よりコスト抑制を重視

(記事抜粋)
 米パソコン大手デルの消費者向け製品部門のスティーブ・フェリス社長は27日、東京で本紙とのインタビューに応じ、今年度(2010年2月~11年 1月)はシェア拡大からコスト抑制に焦点を移して、利益率の低い同部門の収益改善を目指すとの方針を明らかにした。

 同社はウェブサイトなどを通じた直販で有名だったが、最近では実店舗での販売に力を入れており、米国のほか日本や中国でもウォルマート・ストアーズなどでの販売を開始している。

 デルの実店舗販売は昨年度には約60億ドル(約5580億円)となり、ほぼゼロだった2007年度から大幅増加している。しかし、フェリス社長によれば、この拡大は利益率を犠牲にしたもので、昨年度の消費者部門の売り上げはデル全体のほぼ4分の1だったのに対し、利益貢献度は3%に過ぎなかった。

 デルの主要顧客である大企業向け製品事業は回復しているが、一般消費者向けはネットブックなどの安価なミニノート型パソコンの急増などで値下げ圧力にさらされ、市場シェアも後退している。だがフェリス社長は、利益率を犠牲にしてまで盲目的に市場シェアの拡大を図るつもりはないと強調した。

 同社長は、消費者向け部門のコスト削減策として、中小企業向け部門と資源を共有することで、事務管理の重複を減らす計画を明らかにした。消費者向け部門の利益率が低い理由としては、同部門の急拡大に伴うコスト増や、DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)など部品価格の上昇を挙げた。その一方で同社長は、パソコン需要が回復を続けていることを指摘し、同社の経営は4月末に終わる10年第1四半期も改善を続けるとの見通しを示した。

フェリス社長は2月から、中小企業向け部門に加えて消費者向け部門の社長を兼務している。

ウォールストリートジャーナル日本版
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