富士ゼロックスは医療機関向けの診療情報システム事業に参入する。院内で分散して保存されている紙や電子データを一元管理するシステムを開発、医師が必要な情報を素早く利用できるようにして、院内の業務改善や医療の高度化を支援する。第1弾として大阪大学医学部付属病院に納入した。オフィス環境を効率化する事業で培ってきたノウハウを医療現場に応用し、今後5年で計200億円の売上高を目指す。
医療機関では電子カルテなどIT(情報技術)化が進んできたが、導入時期によってシステムが異なっているほか、同意書や紹介状などは押印やサインが必要なため紙書類だけしか残さないケースも多い。医師が診療する際、必要なデータを探す手間がかかっていた。
富士ゼロックスの新システムは、患者に関する院内の全データを同社の文書管理ソフトなどで汎用性のある電子書類方式に変換して、患者の属性情報を追加。同意書や手書きカルテなど紙書類には患者情報が入った「QRコード」を付け、複写機で読み取って保存する。これにより、診療記録を含めたデータを院内の端末から簡単に検索できる。
納入先の阪大医学部付属病院では、2000種類以上のデータを統合管理できるようなった。価格は連携させるシステムの数やデータ量などによって異なるが、200床程度の中規模病院で約3000万円からの見込みという。富士ゼロックスは今後5年間で、累計200以上の医療機関への導入を目指す。
日経新聞