2010年8月20日金曜日

米IT大手、軒並み好決算 新興国・クラウドけん引

 マイクロソフト(MS)など米IT(情報技術)大手6社の4~6月期決算が出そろった。アジア太平洋を中心とした新興国需要とインターネット経由でソフトを提供する「クラウドコンピューティング」などの新サービスを成長エンジンに、IBMを除く全社が2けた増収を達成。MSなど4社は2けた増益、インテルも黒字転換した。米景気の先行き懸念もくすぶる中、成長分野で安定した収益確保を続けられるかが今後の課題となる。

 売上高の伸び率が最も高かったのはアップル。61%増収で過去最高を記録し、マイクロソフトとの差は約3億ドルまで縮まった。純利益は78%増えた。インテルも売上高が34%増で過去最高、最終損益は黒字に転換した。

 両社はアジアなど新興国で大きく収益を伸ばした。アップルは高機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)」などの販売好調で、アジア太平洋地域(日本を除く)の売り上げを2.6倍に拡大。「7~9月期には中国・上海など24の直営店を開店する計画だ」(ピーター・オッペンハイマー最高財務責任者)

 インテルは売上高に占めるアジア太平洋地域(同)の割合が2ポイント上昇し57%に高まった。一方、先進国比率が高いIBMは欧州経済の混乱に伴うドル高や官需の息切れで売上高は2%増と他社に見劣りする。

 IBMが苦戦する情報システムなどの分野でも、クラウド事業に軸足を置く企業は好調だった。MSはパッケージソフト商売で成長してきたが、「今年はすべてをクラウドに移す年」(スティーブ・バルマー最高経営責任者)と、パッケージソフト購入とクラウド利用のサービスの両方を選択肢として顧客に示す戦略に転換。クラウド事業を担当するサーバー部門が14%増収となった。

 決算期が異なり、単純比較はできないが、クラウド大手のセールスフォース・ドットコムの2~4月期も売上高は24%増えた。ネット小売り大手のアマゾン・ドット・コムもクラウド事業を強化し、データセンターに大型投資を続ける方針を明らかにした。

 米調査会社のガートナーが今月発表した10年の世界のIT投資予測は前年比4%増。ユーロ安を受けて4月時点より1ポイント強下方修正したが、足元の需要が堅調なIT機器については依然強気だ。

日経新聞
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