キヤノンは18日、新型の薄型表示装置、SED(表面電界ディスプレー)の事業化を目指していた全額出資子会社、SED(神奈川県平塚市)の業務を9月末で終了し、清算すると発表した。主に薄型テレビ用のディスプレーとして開発していたが、薄型テレビの価格下落に製造コスト低減が追いつかないと判断した。
今後は技術者や技術資産をキヤノン本体に移し、高精細で消費電力が低い特長を生かした業務用SEDの開発を継続する。医療向け画像診断機器などを用途として想定している。
同子会社は2004年10月に東芝との折半出資で設立。07年にキヤノンの全額出資とし、単独で事業化を目指していた。
SEDはブラウン管と同じ原理で画面に映像を表示。ブラウン管は1本の電子銃で映像を映すが、SEDは無数の微細な電子銃を平面に配置する。消費電力を抑えつつ高画質を実現できるが、低コストの量産技術の確立が困難とされていた。