産業用インクジェットプリンターを手掛けるミマキエンジニアリングは、新興国で衣料用のインクジェットプリンターの販売を始める。中国など3カ国で現地法人の人数を6割増の計約80人に増強した。新興国の衣料生産は、同一デザイン・大量生産から多品種少量生産に徐々にシフトしており、小ロット生産に適した同プリンターの需要を取り込む。初年度の2011年3月期は100台の販売を目指す。
同社が販売する衣料用インクジェットプリンターはネクタイやスカーフ、スポーツ衣料向け。すでに販売している欧州で、高級ブランド品の生産に使われるなど実績がある。ミマキは昨年、中国とブラジルに現地販売子会社を設立、インドで販売代理店を買収して工業用プリンターの販売を開始した。このほど衣料用プリンターを扱うに当たり、現地の社員数を昨年の約50人から約80人に引き上げた。
新興国では円筒形の版を使うロータリースクリーンと呼ばれる装置で大量に印刷するのが一般的だが、先進国向けを中心に、多様なデザインの衣料を少量生産する動きが出ているという。インクジェットプリンターはデザインの変更に対応しやすいうえに、多色刷りで色の再現性が高く、「新興国でも需要が見込める」(池田明社長)と判断した。
販売するのは1台が1500万円程度の機種が中心。現地の衣料メーカーは1度に複数台まとめて導入する見込みという。現地販売に当たり、1年間かけて布地への印刷条件だけでなく、インクを定着させるための蒸着工程や、現地の水質に合わせた洗浄工程、インクの品質維持など、プリンターの機能を安定的に発揮するための手順を確立。販売先のメーカーに手順の指導もする。
ミマキエンジの10年3月期の連結決算は、新製品の販売時期のずれ込みの影響などで5億2300万円の最終赤字だった。11年3月期は新興国での販売増で3期ぶりの黒字転換(純利益1億6800万円)を目指す。
日経新聞
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