2010年6月20日日曜日

プリンター、アジアで増産 キヤノンとセイコーエプソン

 キヤノンとセイコーエプソンはプリンターの生産体制を拡充する。キヤノンは中国広東省に年間生産能力500万台のレーザープリンター工場を建設。エプソンはインドネシアのインクジェットプリンター工場を増強し、年産能力を2倍に引き上げる。プリンター市場は中国や東南アジアを中心に活況を呈しており、2012年にはリーマン・ショック以前の水準に戻る見通し。両社は増加基調に転じた需要を取り込むことを狙う。

 キヤノンの広東省中山市の新工場は91億円を投じて建設。9月に着工、11年7月に稼働する。敷地面積は30万平方メートルで、延べ床面積は11万8000平方メートル。

 生産するのは低価格のカラープリンターで、外装品や機構部品も内製する一貫生産体制を構築する。中山市には既に年産300万台の工場があるが、新工場に全面的に移管。同市では200万台の上積みとなる。15年の従業員数は約1万人に倍増する見通しだ。

 キヤノンは中国、ベトナム、日本の6工場でレーザープリンターを生産。全社の年産能力は現在、1500万台強と見られ、新工場稼働で1割強増えることになる。

 エプソンはインドネシア工場(IEI、ブカシ県)に隣接する土地約6万平方メートルを取得し、新棟を建設。11年1月から順次生産設備を増強する。人員も現在の約1万人から2万人に増やし、年産能力を現在の600万台から12年度に1300万台に引き上げる。

 総投資額は20億円の見通しで、同社にとっては4年ぶりの大型投資。フィリピンや中国の既存工場を含めた全社能力は1500万台から 2200万台に約5割増える。中長期的に中核部品の生産も手掛けるIEIを主力拠点と位置付ける。

 世界のプリンター市場は08年秋の世界同時不況の影響で急速に落ち込んだ。しかし今年に入ってから中国・東南アジアではビジネス用途の需要が急伸、北米でもオフィス向け投資の回復に伴って需要が増え始めた。米ハイテク調査会社のIDCの予測によると、10年は5%増の1億1271万台と、3年ぶりの増加に転じる。12年には1億2462万台に増え、08年の水準を上回る見通し。

 キヤノンはレーザープリンターの生産量のうち、4分の3程度を米ヒューレット・パッカード(HP)へOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。自社ブランド品を含めると、世界需要の4割強の生産を担っている。一方、エプソンはインクジェットプリンター市場の2割弱を握る世界3位。両社は増産に向けた積極投資で、シェアの維持・向上を目指す。

日経新聞
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