2010年5月27日木曜日

物流大手、インドで攻勢 日立物流は現地企業買収

 国内物流大手がインドに本格進出する動きが相次いでいる。日立物流はムンバイに本社がある物流会社を50億円強で買収し、輸出入貨物の取り扱いを強化する。山九も9月に現地法人を設立し、日本通運も北部で大型倉庫の建設を進めている。インドでは自動車、電機を中心に日本企業が生産拠点を設ける動きが拡大。内需型企業である物流会社も、輸送需要が成長するインド展開を急ぐ。

 日立物流はフライジャック ロジスティクス(ムンバイ)の全株式を今月に取得した。同社の09年3月期の売上高は73億円で従業員は770 人。インド国内に25カ所の営業拠点を持つ。

 フライジャック社は航空や海運などの貨物スペースを確保し、顧客から集めた荷物を輸送する「フォワーディング」事業が専門。売上高のうち欧米向けの輸出入貨物が7割を占める。買収を契機に日本企業の受注獲得につなげ、12年3月期には売上高を100億円超に引き上げる計画だ。

 山九は9月に現地法人の「山九インド(仮称)」を全額出資で設立する。東南アジア、中国、米国などに約40社のグループ企業を抱え、日本を経由しない国際間輸送の獲得に対応する。

 07年春にインドに進出した日通は、北部のラジャスタン州に6カ所目となる大型倉庫を建設中。7月に稼働させ、近郊の工業団地に進出を予定する約20社の日本企業の物流需要を取り込む。商船三井もこのほど、インド発の自動車の海上輸送に本格参入した。

 インドでは日産自動車やパナソニックなど、日本メーカーの現地生産が活発化している。在インド日本大使館の調べによると、09年10月時点でインドに進出している日本企業は627社と、08年1月に比べ189社増加した。日本企業がインドを輸出拠点に位置付ける動きが広がっている。

 巨大な人口を抱える同国は、内需拡大に伴う物流需要も見込める。日通の川合正矩社長は「人口増加率で勝るインドは、物流需要でいずれ中国を上回るだろう」とみる。

日経新聞
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