キヤノンの業績が急回復している。2010年1~6月期の連結営業利益(米国会計基準)は1820億円前後と前年同期比2.8倍となったもようだ。収益性が高いデジタル一眼レフカメラ、レーザープリンターの販売が想定以上に伸びた。円高・ユーロ安に伴う減益要因を販売増と経費削減で吸収する。
1~6月期の売上高は前年同期比15%増の1兆7050億円前後になったようだ。デジタル一眼レフカメラは入門機の売れ行きが好調。地域別では中国向けが伸びた。
前期にふるわなかった事務機部門も顧客企業のIT(情報技術)投資再開で底入れしている。レーザープリンターは在庫調整が一巡、ベトナムや中国でフル生産が続く。売上高総利益率はリーマン・ショック前の水準まで回復したもようだ。
10年12月期通期の予想売上高は前期比17%増の3兆7500億円前後、営業利益は66%増の3600億円前後と、4月下旬に公表した従来計画から、ほとんど変えない公算が大きい。
下期(7~12月期)の為替の想定は、円高が進む足もとのレートに合わせる方針。対ユーロでは4月公表時点に前提としていた1ユーロ=125円から、110円前後に見直すようだ。キヤノンは欧州売上高の比率が全体の約3割と高く、想定レートの見直しによる営業利益の目減りは500億円前後にのぼるとみられる。
デジカメなど高収益商品の拡販とコスト削減でユーロ安の影響を吸収する。露光装置は中国で液晶パネル製造向けの引き合いが強く、回復の兆しが見えてきた。
日経新聞