インキ最大手のDICの2010年4~6月期は、連結営業利益が前年同期の約3.8倍の80億円前後になったもようだ。米インキ子会社の収益が回復に向かい、日本や中国でも高機能製品の販売が好調だった。経費削減も寄与し、期初の計画を上回った。
売上高は11%増の1900億円前後とみられる。家電などに使われる合成樹脂や顔料などの販売が、日本やアジアで伸びた。特に中国市場が好調で、出荷額が前年同期を2~3割上回る品目もあった。
前年同期に1億円の赤字を計上した米子会社サンケミカルは黒字に転じた。出版向けインキは前年同期をやや下回ったが、食品のパッケージなどに使う包装資材向けのインキが欧米や中南米向けに回復している。前期から続けているコスト削減の効果も出た。
国内でも出張・交通費などの経費を切り詰めたほか、設備投資も機械の更新などにとどめている。コスト削減で利益が出やすくなったところに、採算の良い高機能顔料の販売数量が伸び、増益幅が大きくなった。
11年3月期の業績予想(営業利益で前期比26%増の350億円)の前提となる為替レートは、期中平均で1ドル=90円。1円の円高は1億円の営業減益要因になる。足元では1ドル=90円を上回る円高が進んでいるが、おおむね期初の想定の範囲内にあり、アジアでの需要も伸びが続いているもよう。通期でも増収増益となる見通しだ。
日経新聞
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