米インターネット検索最大手のグーグルは22日、中国本土でのネット検索サービスを同日から停止したと発表した。検索を制限する検閲の撤廃を中国政府が認めないことがはっきりしたため、中国本土では検索事業からの「撤退」を決めたという。
表現の自由が制限されていることを理由に、中国外の大手企業が中国での事業を閉鎖するのは極めて異例。この問題では米政府も中国政府を批判しており、米中間の摩擦がさらに強まる可能性がある。
グーグルによると、同社は22日、中国当局が望まない検索結果の表示を自主的に削除する「自己検閲」をかけていた中国版の検索サービスを停止。中国版のサイト「Google.cn」にアクセスしようとすると、香港版の「Google.com.hk」に自動的に転送されるようにした。香港版は、グーグルが香港にあるサーバーを使って運営しているサイトで、中国語の画面が表示され、自己検閲されずに検索できる。
今回の措置について、グーグルは22日の声明で「合法的であり、中国の人々が情報にアクセスする機会を増やすものだ」と説明。「中国政府が我々の決定を尊重することを望む」としている。一方で、香港版への中国本土からのアクセスについて「いつでも妨げることができることは十分承知している」とし、中国政府が今後、香港版を中国本土では見られないようにする可能性を示唆した。
グーグルは今年1月、中国版の検索サイトへのサイバー攻撃が激しくなっていることや、検閲が続いていることを理由に、中国版検索サイトや中国の現地法人を閉鎖する可能性があると発表。人権関連サイトの表示をしないようにするなどの自己検閲を中国側の要請で実施し続けることは、これ以上受け入れられないとして、中国政府の対応の見直しを求めていた。
だが、グーグルによると、自己検閲の撤廃について、中国政府が「交渉の余地のない法的な要件であることを非常に明確にした」ため、中国本土で検閲なしの検索サービスを提供することを断念せざるをえなくなったという。
朝日新聞
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