2010年3月25日木曜日

経産省、中国での日本企業の知的財産権侵害実態調査結果を公表

  経済産業省は3月23日、昨年12月から今年2月かけて実施した「中国における知的財産権侵害実態調査」の結果をとりまとめて発表した。この調査は、製造業を中心に、2007年度と2008 年度の2カ年の中国における知的財産権侵害による被害、及びその救済策の利用状況等についてアンケート調査を行ったもので、日本企業262社に調査票を送付し、141社から回答があった。なお、今回で4回目の調査となる。

  今回の調査結果では、5割超の日本企業(08年度 73社/138社(53%)が中国で知的財産権侵害を受けたと回答しており、依然として被害は深刻な状況にある。被害を受けた企業のうち、7割(08年度 51 社/73社(70%))は、中国の救済手段利用しており、その摘発件数の増加等、中国の行政機関の知的財産権侵害に対する取組みの前進は伺える。

  最も多く利用されたのは、行政手続による措置で、「行政摘発総件数」は、2008年度3153件と、2006年の2593件と比較して約2割増加した。特に「行政機関の独自の判断に基づく行政摘発件数」は2008年度569件で、2006年度289件から倍増した。

  一方、依然として中国当局の対応が不適切と感じている日本企業は多く、対応が中国の法制度に照らして不適切と感た企業は、救済手続利用企業のうち、2008年度28社/51社(55%)となっている。「商標権侵害のラベル部分と、商品の本体部分を別の工場で製造し後で組み立てる」「インターネットを通じて、全世界に模倣品・海賊版を販売」など模倣品業者の手口の巧妙化事例も報告されており、日本企業は中国政府に対して、さらなる取組の強化を求めている。

  なお、経産省では、中国における知的財産権保護強化のため、2009年に、中国商務部、及び中国国家工商行政管理総局と覚書を交換し、新たな政府間対話のチャネルを創設しており、今後は、今回の調査結果を参考としつつ、中国政府との対話を継続し、知的財産権侵害問題の改善に取り組んでいくとしている。

【詳細】2009年度の「中国における知的財産権侵害実態調査」