ソニーは21日、新しい映像・情報端末の開発で米グーグルと提携すると正式発表した。インターネット経由でソフトやサービスを提供するグーグルの「クラウドコンピューティング」の技術を活用。テレビや携帯電話などソニー製品の機能を高めることで、デジタル家電市場での勝ち残りをめざす。
まず2010年秋に米国でインターネットテレビを発売する。グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」や、ウェブ閲覧ソフト「クローム」などを採用する。
画面にはチャンネルの一覧やグーグルのウェブ検索サイトなどを並べて表示。視聴したいコンテンツを簡単に選べるほか、ネット経由でいつでも新しいコンテンツを追加できるようにする。文字入力には、キーボード付きのリモコンやスマートフォン(高機能携帯電話)などを使う計画だ。
ソニーは次世代の携帯電話や電子書籍端末などの開発でもグーグルとの連携を検討する。「ソニー製品全般をインターネットと融合し、消費者が楽しめる選択肢を広げる」(ハワード・ストリンガー会長兼社長)。
ソニー製品の心臓部に「アンドロイド」の技術を活用することで、新製品の開発期間を短縮し、コストを削減する効果も狙っているようだ。
ソニーはここ数年取り組んできたリストラが寄与し、10年3月期の営業損益が2期ぶりに黒字転換した。今期からはテレビやパソコン、ゲーム機などの販売拡大に力を入れる方針で、グーグルとの提携で攻めに転じる考えだ。
提携発表を受けた21日のソニーの株価終値は、前日比18円高の2884円となった。日経平均株価が3カ月半ぶりに年初来安値を更新する中で、新事業への期待感から逆行高となった。
ただ、グーグルは11年夏にネットテレビの中核ソフトの技術仕様を無償公開する計画。これ以降はどのメーカーでも、グーグルのOSを使ったテレビを開発できるようになる。
野村証券の片山栄一アナリストは「ソニーがテレビのネット対応にいち早く取り組む姿勢は評価できる」としたうえで、「業績への寄与度は先行者メリットをどこまで出せるかがカギ」と指摘している。
日経新聞
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