リコーは21日、2010年3月期の連結純利益(米国会計基準)を上方修正し、前の期の3.8倍の250億円になったと発表した。従来予想は150億円。高単価の事務機販売が前期末にかけて増加したほか、経費を全社的に抑制して利益を上積みした。ただ本格的な業績回復には先進国を中心とした事務機市場の回復が不可欠だ。
売上高は前の期比4%減の2兆100億円と、予想から100億円増えた。海外販売は振るわなかったが、今年に入って国内で単価の高い商業用デジタル印刷機の販売が増加。高収益のサービス事業の販売も回復基調で、売上高総利益は想定よりも100億円増加した。
営業利益は 13%減の650億円と、計画を200億円上回った。リコーグループ全体で収益改善に取り組み、残業の縮小などで人件費を圧縮。また出張費など諸経費の削減も進んだ。事務機の新製品発売が想定より遅れたため関連費用が減ったほか、研究開発費も想定を下回った。
08年秋に買収した米事務機販売大手のアイコンオフィスソリューションズは事務機市場の低迷で営業赤字となったが、本体の収益改善で補った。
10年1~3月期の連結業績は、売上高が09年1~3月期比2%増の5352億円、最終損益は105億円の黒字(09年1~3月期は230 億円の赤字)。足元では回復基調が鮮明になっている。
ただ07年3月期には過去最高の純利益1117億円を計上しており、前期の利益水準はピーク時の約2割。営業利益率も3%台にとどまっており、本格的な業績回復には、先進国を中心とした主力の事務機市場の回復が不可欠といえそうだ。
日経新聞
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