富士フイルムホールディングスの連結業績が大幅に改善する。2011年3月期の連結営業損益(米国会計基準)は1200億円程度の黒字となる見通しで、上場以来初の赤字だった前期(400億円程度の営業赤字)から急回復する。中国などの薄型テレビ販売が伸びて液晶フィルム関連の好調が続くほか、医療・事務機事業も上向く。
売上高は前期推定比6%増の2兆3000億円程度になりそうだ。増収は08年3月期以来3期ぶり。液晶ディスプレーに使う偏光板保護フィルムの生産・販売は昨年春から増勢が続いている。医療機関の投資再開でエックス線画像診断装置や内視鏡などの医療部門も伸びそう。事務機需要の回復で子会社の富士ゼロックスも業績が改善する。
営業損益の改善額は約1600億円。前期に総額1450億円の構造改革費用を計上し、市場縮小が続く写真フィルム関連事業などで現像所の統廃合や海外従業員の削減に取り組み、資産や固定費の圧縮を進めた。
今期は大がかりな構造改革が一巡し、計上する費用は200億円強に減少する見通しだ。前期の改革の成果として600億円程度のコストが削減でき、営業段階の増益要因として、研究開発費などの負担増や円高による採算悪化を吸収する。
前期の連結業績は売上高が前の期比1割減の2兆2000億円弱、営業損益は400億円程度の赤字(前の期は372億円の黒字)だったようだ。営業損益の会社予想は650億円の赤字だが、構造改革の効果が前倒しで表れ、予想より赤字幅が縮小したもようだ。
日経新聞