2010年7月20日火曜日

コンビニ大手4社、アジア店舗2.5倍へ 15年度末

ファミマは1万5500店に倍増、ミニストップは3倍

 コンビニエンスストア大手4社のアジア店舗総数が2015年度末に、約2.5倍の2万4000店に増える見通しだ。出店ペースを従来の3倍に加速し、現在の4社の国内総数の約75%に当たる店舗網を築く。ファミリーマートは中国を中心に1万5500店へ倍増、ミニストップは3倍にする。効率的な運営モデルを確立した日本のコンビニは海外でも競争力があり、高成長の続くアジアで需要が急増。国内市場が飽和に近づく中、ノウハウを活用して事業を急拡大する。
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 4社は最大手のセブン―イレブン・ジャパン、2位ローソン、3位ファミマ、5位のミニストップ。4社で国内シェア(全店売上高ベース)の 70%以上を占める。4位のサークルKサンクスは海外に進出していない。

 4社が直接出資するアジアの現地法人が日本のノウハウを活用してフランチャイズチェーン(FC)展開する店舗は、09年度末時点で1万店弱。過去3年の出店増は年間平均で約800店ペースだったが、今後は2300店を上回る。

 ファミマは台湾、韓国、タイなど5カ国・地域に8000店強を持つ。中国だけで15年度末までに約13倍の4500店にする。09年度の連結経常利益における海外寄与度は7%に満たないが、「15年度は20%近くに高まる」(上田準二社長)。

 中国・上海に約300店を出店するローソンはインド、インドネシア、ベトナムにも進出して3000店体制とする方針。韓国、フィリピンに続いて昨年に中国進出したミニストップも、3倍の4500店に増やす。

 セブンイレブンは子会社のセブン―イレブン北京(北京市)などを通じ、中国で北京、天津、上海の3市に出店しており、09年度末の100店強を15年度末に1000店規模へ増やす見込み。05年に完全子会社化した米セブン―イレブン・インクが台湾、タイ、韓国などアジアで約1万6000店を展開しているが、商標使用などのライセンス契約にとどまっているため、日本のノウハウを活用した店舗運営の導入などを呼びかける。

 コンビニは1960年代に米国で急成長したが、70年代以降、日本では商品の仕入れ・配送から販売・顧客情報の管理まで一元管理する仕組みが確立され、店舗が急拡大した。売り上げが落ち込む百貨店やスーパーと比べると順調に市場が拡大してきたが、ここにきて国内店舗数は4万2000を超え、既存店売上高も5月まで12カ月連続で前年比マイナスとなり伸び悩んでいる。

 国際通貨基金(IMF)の経済見通しによると、10年の実質成長率は世界経済4.6%に対し、アジアは7.7%と高水準を維持。中国は小売売上高に相当する「社会消費品小売総額」が09年に、前の年に比べて15.5%伸びた。アジアは人口増と都市化に伴って長時間営業で身近なコンビニ需要が急増。小規模な商店が多く、FC加盟店を広げやすい素地もある。

 中国ではファミマが食品・流通大手の頂新グループ、セブンイレブンが台湾の大手流通業の統一集団グループとそれぞれ組むなど、各社はアジアの有力企業との提携もテコに出店を加速する。

日経新聞
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