2010年7月10日土曜日

2009年中国ネットショッピング市場規模:2483億5000万元

 7日、中国チェーン経営協会は「伝統的小売企業によるネット販売業務展開についての研究報告」を発表した。
 報告によると、2009年の中国ネットショッピング市場規模は2483億5000万元(約3兆1949億円)であった。これは全社会小売総額の 1.98%でしかないが、成長率から見ると93.7%もの大幅増加となっている。
 報告は、2013年までにネットショッピング市場規模は1兆元に達すると予測している。

2010年7月9日金曜日

中国の家電大手、新興国を開拓 日韓勢と争いに

インド専用に商品投入 エジプト同業には出資

 中国の家電大手が海外の新興国市場の開拓を加速している。海爾集団(ハイアール)はインド市場専用の商品を投入、10店以上の大型旗艦店も開く。広東美的電器は現地資本への出資で中東・アフリカに進出。四川長虹電器は販社設立でロシアなどでの販売体制を強化する。将来の人民元高に備え、新興国での現地生産に着手する例も増えてきた。日本の家電大手も同市場開拓に本腰を入れ始めており、今後は韓国勢に加えて中国勢との競争が激しくなりそうだ。
画像の拡大

 ハイアールは停電が多いインドの電力事情を踏まえ、停電時の庫内の温度上昇を抑える冷蔵庫など複数の専用商品を投入する。販売促進のため年内に大型旗艦店を都市部中心に10店以上開設するほか、広告宣伝活動に50億ルピー(約94億円)を投じる。2010年のインド売上高は100億ルピーを見込み、12年には3倍の300億ルピーに拡大する計画だ。

 エアコン大手の美的はオランダ子会社を通じ、エジプトの同業大手ミラコの発行済み株式の32.5%を取得する。今夏からミラコが中東やアフリカで保有する販売網を使い、美的の商品を販売する。テレビで中国国内シェア首位の長虹電器は、ロシアとアラブ首長国連邦(UAE)ドバイに全額出資の販売子会社を設立し、主力のテレビの販路を開拓する。

 新興国市場の開拓加速の背景には、中国国内の価格競争激化がある。中国政府の家電購入補助政策を背景に国内販売は好調だが、冷蔵庫などでは値下げも相次ぐ。各社とも国内市場への依存度が高く、新たな収益源の開拓が必要になっている。

 新興国向け商品は現時点では中国からの輸出が多いが、人民元相場の上昇を見越して現地生産に踏み切る企業も増えてきた。ハイアールはすでにインドで冷蔵庫などを生産する工場を稼働済み。美的はインドネシア工場の新設を検討中だ。新興国市場の開拓が進めば、元高の影響を受けにくく、人件費が比較的安い国外に生産拠点を移す動きも広がりそうだ。

 アフリカやインドなどの家電市場では、現地事情に合わせた商品投入などで先行した韓国のサムスン電子とLG電子が高いシェアを確保。日本メーカーも販売網強化を急いでいる。

 パナソニックは10~12年度の中期経営計画でナイジェリア、トルコなど13カ国を重点市場と位置付け、ボリュームゾーン(普及価格帯)攻略を打ち出した。ソニーもアフリカの専売店拡充を急いでいる。普及価格帯に強い中国勢の新興国攻勢で、韓国勢、日本勢も含めた三つどもえの競争が激しくなりそうだ。

日経新聞

電子書籍の業界団体設立へ 大日本印刷と凸版 電機・通信会社などに参加要請

 大日本印刷と凸版印刷の印刷大手2社は、電子書籍の制作、流通にかかわる企業で構成する業界団体「電子出版制作・流通協議会」を7月末に設立する。両社が発起人となり、ソニーやシャープなど閲覧用端末を製造する電機メーカーや、回線を提供するNTTなどに参加を要請中。今後、商品化される様々な端末で、電子書籍が流通しやすい仕組みを関係企業が整える狙いだ。

 電機メーカーや通信会社、印刷会社などが役割分担しながら電子書籍の流通基盤を作るために、必要な取引規約や技術仕様を議論する。

日経新聞

キヤノン、営業益2.8倍 10年1~6月期デジカメ、プリンターなど好調

 キヤノンの業績が急回復している。2010年1~6月期の連結営業利益(米国会計基準)は1820億円前後と前年同期比2.8倍となったもようだ。収益性が高いデジタル一眼レフカメラ、レーザープリンターの販売が想定以上に伸びた。円高・ユーロ安に伴う減益要因を販売増と経費削減で吸収する。

 1~6月期の売上高は前年同期比15%増の1兆7050億円前後になったようだ。デジタル一眼レフカメラは入門機の売れ行きが好調。地域別では中国向けが伸びた。

 前期にふるわなかった事務機部門も顧客企業のIT(情報技術)投資再開で底入れしている。レーザープリンターは在庫調整が一巡、ベトナムや中国でフル生産が続く。売上高総利益率はリーマン・ショック前の水準まで回復したもようだ。

 10年12月期通期の予想売上高は前期比17%増の3兆7500億円前後、営業利益は66%増の3600億円前後と、4月下旬に公表した従来計画から、ほとんど変えない公算が大きい。

 下期(7~12月期)の為替の想定は、円高が進む足もとのレートに合わせる方針。対ユーロでは4月公表時点に前提としていた1ユーロ=125円から、110円前後に見直すようだ。キヤノンは欧州売上高の比率が全体の約3割と高く、想定レートの見直しによる営業利益の目減りは500億円前後にのぼるとみられる。

 デジカメなど高収益商品の拡販とコスト削減でユーロ安の影響を吸収する。露光装置は中国で液晶パネル製造向けの引き合いが強く、回復の兆しが見えてきた。

日経新聞

2010年7月8日木曜日

ニコン、ネット関連企業とデジカメ事業で協力

 ニコンの木村真琴社長は7日、日本経済新聞記者と会い、「デジタルカメラ事業で通信端末やネットワーク関連企業と幅広く協力関係を築いていく」と語り、ネットサービスを中心に提携戦略を強化する方針を明らかにした。一方で、規模拡大のために他社のデジカメ事業を買収する可能性については「ブランドを増やすような戦略はとらない」と否定的な姿勢を示した。

 木村社長は「デジカメは撮影した画像をどのように楽しむかが重要になってくる」と強調し、スマートフォン(高機能携帯電話)など携帯端末と連携したサービス拡充を急ぐ考えを示した。

 ニコンは「マイピクチャータウン」と呼ぶ画像の保存・共有サービスを提供している。すでに米アップルの「iPhone(アイフォーン)」で閲覧したり、iPhoneで撮影した画像をサイトで更新したりできるソフトを提供している。木村社長は「特定企業に限定せず、オープンな形でネット技術やサービスを開発していきたい」と語った。

 デジカメ事業でのM&A(合併・買収)戦略については、ソフトウエア企業など自社技術を補完する買収はあり得るとしたものの、「他社のブランドを買収する考えはない」と強調し、業界再編に加わる可能性を否定した。

日経新聞
キー・リサーチ トップへ

大日本印刷、電子書籍販売に進出 丸善などと協力

 大日印は小学館や新潮社、文芸春秋など出版各社に協力を要請した。このうち講談社は「作品提供に応じたい」(野間省伸副社長)としており、岩波書店も前向きに協議に応じる考えだ。

 大日印は出版社に対し、傘下の書店と電子書籍サイトの販売データを提供、データ分析から電子書籍の企画や販売方法まで指南し、作品供給を促す。電子書籍を巡っては著作権者の了解や収益分配方法などの課題もあるが、2011年中には販売点数を30万点に増やしたい方針だ。

 電子書籍はまず、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」や携帯電話、パソコン向けから手掛ける。ソニーなど国内メーカーが年内にも投入する電子書籍端末にも配信先を順次広げていく。

 各作品の価格は出版社の希望を踏まえて決めるが、紙の書籍より安い商品が多くなるとみられる。利用料金はサイト入会時に登録するクレジットカードや電子マネーなどで決済する。

 電子書籍の普及に向け、傘下の丸善、ジュンク堂書店(神戸市)、文教堂グループホールディングスとの連携も強化する。3社と共同で、紙の書籍と電子書籍で共通に獲得できるポイントを導入する。そのために3社共通で使える会員カードを11年上期にも発行する。1つの会員IDで、電子書籍サイトと、傘下企業が運営する書籍通販サイト「bk1」も利用できるようにする。

 会員や在庫の情報を、書店と電子書籍サイトなどで共有。会員が電子書籍サイトから書籍の在庫状況を調べ、店頭で受け取れるサービスも始める。購入履歴をサイト上で確認することもでき、履歴を基に会員の好みにあった商品も推奨できるようにする。

 店舗の顧客と電子書籍の消費者を相乗効果で増やし、不振が続く書店経営の立て直しにもつなげたい考えだ。

 大日印は今後2~3年で、新サイト開設や電子書籍のデータ制作工程、bk1の強化などに300億円を投資する。傘下3書店チェーンの年間売上高は直近で1700億円規模。5年後には電子書籍関連で売り上げ500億円を目指しており、書籍通販も合わせ、書籍流通事業の年間売上高を2500億円規模に拡大する計画だ。

日経新聞
キー・リサーチ トップへ

コニカミノルタビジネステクノロジーズ、環境中計策定-CO2を10年間で75%減

コニカミノルタビジネステクノロジーズは、環境中期計画を策定した。
 2015年度までに製品の使用で排出される二酸化炭素(CO2)を05年度比75%減らす。生産に伴うCO2排出量は売上高原単位で同33%削減する。製品への省エネルギー技術の導入や生産改善で、製品ライフサイクル全体での排出量を大幅に抑える。いずれもコニカミノルタグループ全体よりも高い目標を設定し、環境負荷の低減に取り組む。
 コニカミノルタホールディングス(HD)グループの製品使用時のCO2削減目標は同60%減。ビジネステクノロジーズは事務機器事業を担当するグループ中核企業で、高い目標を掲げてグループの目標達成に貢献する。新技術の導入やソフトウエアの改善で事務機器の省エネ化を進める。

日刊工業新聞
キー・リサーチ トップへ

2010年7月7日水曜日

キヤノン、複合機「imageRUNNER ADVANCE」シリーズのラインアップを拡充 カラー2機種4モデル、モノクロ3機種を発売

(リリース記事より)
キヤノンは、複合機「imageRUNNER ADVANCE(イメージランナー・アドバンス)」シリーズの新製品として、コンパクトモデルのカラー機"C2000シリーズ"2機種4モデルを10月上旬より、シリーズ初のモノクロ機"6000シリーズ"3機種を8月上旬よりそれぞれ発売します。


* imageRUNNER ADVANCE C2000シリーズ
価格(税別)105万円~(発売日:2010年10月上旬)

* imageRUNNER ADVANCE 6000シリーズ
価格(税別)250万円~(発売日:2010年8月上旬)

参照記事
キー・リサーチ トップへ

キヤノンとHP、米で中国企業などの調査求める 特許巡り

 キヤノンと米ヒューレット・パッカード(HP)が相次いで、中国製プリンターのトナーやインク部品が特許を侵害しているとして、米国際貿易委員会(ITC)に調査を求めた。中国商務省が6日までに明らかにした。トナーやインクはプリンター大手の収益源だけにITCの判断に注目が集まる。

 キヤノンは珠海賽納科技(広東省)などのレーザープリンター用トナーカートリッジが特許を侵害したと主張。米国の輸入会社を含めた20社について、輸入品の知的財産権の侵害などを排除する関税法337条に基づく調査を求めた。

 HPも中国製のインクジェットプリンター用インクカートリッジが特許を侵害しているとして、米国や中国などの7社について、ITCに同様の調査を求めた。中国商務省によると、中国製品が米国で海外企業から同様の訴えを受けたのは今年10件目。

日経新聞
キー・リサーチ トップへ

OKIデータ、オランダでプリンター拡販

 OKIのプリンター子会社であるOKIデータ(東京・港)はオランダのソフトウエア開発・販売会社と提携し、現地で外食産業向けにカラープリンターの販売を拡大する。2012年度にオランダでの売上高を現在の約2割増にあたる17億円に引き上げる計画だ。

 URDシステムソフトウエア(南ホラント州)とこのほど契約した。同社はネットワーク経由でレストランやホテルなど外食事業者に、メニューやポスターなどのデザインソフトウエアを提供している。OKIデータは自社のプリンターにURDのソフトを組み合わせて提供する。初年度は200台の販売を見込む。

 今後は小売業界や運輸業界などにも広げる。印刷量に応じて課金するプリントサービスも展開する予定だ。企業の印刷内製化ニーズを取り込み、収益基盤を強化する。

日経新聞
キー・リサーチ トップへ

国内電子書籍市場、14年度1300億円超に 民間調べ

 調査会社のインプレスR&D(東京・千代田)によると、情報端末で読める小説やマンガなど電子書籍の国内市場(販売額ベース)は、 2014年度に1300億円を超える見通しだ。米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」など持ち運びやすい高性能端末がけん引役になり、 09年度比で2.3倍に拡大する。

 スマートフォン(高機能携帯電話)や電子書籍専用端末も含めた「新型端末」向けの販売額は、09年度の6億円から11年度に約60億円、 14年度に600億円以上に急増すると予測している。

 一方、09年度に全体の9割を占めた携帯電話向けは、12年度をピークに600億円台後半で需要が頭打ちになる。手軽に読めるマンガや若者向け小説が人気を集めてきたが、「携帯電話からスマートフォンに移行する人が増える」(インプレスR&D)こともあり、14年度に新型端末が追い付く。ソニーが年内にも電子書籍端末を国内投入するなど、国内メーカーから新型端末が相次ぐことも追い風とみている。

 09年度実績は前年度比23.7%増の574億円と推計。うち携帯電話向けは513億円。パソコン向けは55億円で2年連続の減少。

の574億円と推計。うち携帯電話向けは513億円。パソコン向けは55億円で2年連続の減少。

日経新聞
キー・リサーチ トップへ

2010年7月6日火曜日

リコー、廃棄物処理で優良委託先公表 リスク軽減

 リコーは国内工場の廃棄物処理の委託先約160社から優良企業を選び、ホームページ上で公開する。大手企業は不法投棄などを防ぐため処理業者の監査を強化しているが、評価結果を外部に明らかにすることで一段の業務改善を促す。

 同社は廃棄物の管理体制、汚染防止対策など約100項目について5段階評価をし、該当項目すべてで3以上の企業と取引している。

 優良認定するのは評価が4以上の企業で、これまでに全国14社(20事業所)を認定し、近く社名を公表する。優良認定は3年ごとに更新。優良企業には、新製品の生産などで新たに廃棄物が生じる場合、業務を優先的に委託する。

 リコーの国内工場では年2万トン規模の廃棄物(有価物を除く)が発生する。廃棄物の排出企業は処理業者が不法投棄をした場合でも撤去費負担などの形で責任を問われる恐れがある。同社は「産廃処理企業が景気低迷の影響で人手を減らすなど一部に質の低下がみられる」(環境経営推進室)としている。

日経新聞
キー・リサーチ トップへ

サムスン電子、中・台の経済連携加速受け日本企業と関係強化へ

 韓国サムスン電子が日本企業との関係強化に動き始めた。
 理由の一つは親日家の李健煕氏が会長に復帰したこと。もう一つは中国、台湾の経済連携「チャイワン」が加速、事業基盤を脅かすリスクが高まっているためだ。サムスンにとって日本の家電メーカーの購買力と、製造装置や部品の技術力は事業拡大に不可欠。日本側も脅威論を乗り越えて、どのような関係を構築していくかが試される。(編集委員・明豊)
 「ここ数年、日本企業とサムスンの関係は遠くなりかけていた」(サムスン電子関係者)―。李会長は3月にソウルで就任前の米倉弘昌経団連会長と会談。「まだ日本から学ぶべきことは多い」と話したという。5月には液晶事業で合弁を組むソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長とも夕食を共にしている。

日刊工業新聞
キー・リサーチ トップへ

2010年7月5日月曜日

DIC、営業益3.8倍に 4~6月アジア向け好調

 インキ最大手のDICの2010年4~6月期は、連結営業利益が前年同期の約3.8倍の80億円前後になったもようだ。米インキ子会社の収益が回復に向かい、日本や中国でも高機能製品の販売が好調だった。経費削減も寄与し、期初の計画を上回った。

 売上高は11%増の1900億円前後とみられる。家電などに使われる合成樹脂や顔料などの販売が、日本やアジアで伸びた。特に中国市場が好調で、出荷額が前年同期を2~3割上回る品目もあった。

 前年同期に1億円の赤字を計上した米子会社サンケミカルは黒字に転じた。出版向けインキは前年同期をやや下回ったが、食品のパッケージなどに使う包装資材向けのインキが欧米や中南米向けに回復している。前期から続けているコスト削減の効果も出た。

 国内でも出張・交通費などの経費を切り詰めたほか、設備投資も機械の更新などにとどめている。コスト削減で利益が出やすくなったところに、採算の良い高機能顔料の販売数量が伸び、増益幅が大きくなった。

 11年3月期の業績予想(営業利益で前期比26%増の350億円)の前提となる為替レートは、期中平均で1ドル=90円。1円の円高は1億円の営業減益要因になる。足元では1ドル=90円を上回る円高が進んでいるが、おおむね期初の想定の範囲内にあり、アジアでの需要も伸びが続いているもよう。通期でも増収増益となる見通しだ。

日経新聞
キー・リサーチ トップへ

米小売り大手、都心に小型店 ウォルマートやベスト・バイ

 米小売り大手が小型店や都心型店舗の出店を相次ぎ加速する。最大手ウォルマート・ストアーズが大都市でのチェーン展開に参入するほか、高級百貨店大手ノードストロームも格安商品を扱う業態を増やす。倹約志向の定着を踏まえ、伝統的な郊外大型店の展開を見直し、消費者が低価格品を手軽に買える店を増やして収益力の強化を図る。商業用不動産相場が依然軟調で、好立地に進出しやすいことも背景にある。

 ウォルマートはシカゴでディスカウント店のチェーン展開を始める。6月末に市議会が出店を認めたのを受け、同市内に5年間で数十店を展開する計画だ。ニューヨークやロサンゼルスなどほかの大都市への本格参入も検討している。

 「スーパーセンター」と呼ばれる郊外の大型店を中心に全米約4300店を展開する同社にとって、大きな路線転換。米国内で既存店売上高の前年割れが約1年続いているため「小規模な店舗を多く開く」(デューク最高経営責任者)ことで局面の打開を図る。

 ノードストロームは、アウトレット店「ノードストローム・ラック」を新規出店の主軸に据える。2011年1月期に出店を計画する19店のうち16店を同業態とする。

 シーズンオフの商品や在庫処分品を扱い、主力の高級店「ノードストローム」より価格設定が最大7割程度安い。消費者の倹約志向を映して客足は好調。売り場面積は高級店の3分の1から4分の1だが、都心出店の目玉と位置付ける。

 米国に約1200店を展開する家電量販最大手ウォルマートは年末までに、小型店「ベスト・バイ・モバイル」を最大100店新設する。携帯端末の販売に特化した新業態で、現在は約80店。同社は米アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」などを扱っており、携帯電話は売上高が年率1割強伸びている収益分野。将来的には1000店前後に増やすという。

 こうした新業態は、従来型店舗より投資額を抑えられる利点がある。全米で商業用不動産の市況が軟調なことも、財務余力のある小売り大手には追い風。全米でショッピングセンターからテナントが撤退する流れが続き、空室率が上昇する一方、不動産価格や賃料は低下傾向にある。

 不動産調査大手のリースによると、米国の主要ショッピングセンターの空室率は10年3月末時点で平均10.8%。直近の底だった05年夏(6%台)からほぼ一貫して上昇している。出店に前向きな企業にとって、人口密集地域や交通の便がよい好物件を選びやすい環境になっている。

 小売り大手が空き物件への進出を加速すれば、商業用不動産の価格が大都市を中心に底入れし、金融機関の商業用不動産向けローンの焦げ付きも減少する可能性がある。

日経新聞
キー・リサーチ トップへ