2012年3月21日水曜日

富士ゼロックス、中小向け事務機販売強化へ組織再編

富士ゼロックスは主力製品である複合機など事務機の国内販売体制を再編する。全国に34ある販売会社の上部組織として、4月2日付で6つの地域統括会社を全額出資で新設。地域特性に合わせたマーケティングを強化し、成長市場とみられている地方の中小事業者向け営業を強化する。

 北日本、関東、首都圏、中部、西日本、九州の各地域を統括する子会社を設立する。販売機能は持たないが、本社が実施していた市場分析などを受け持って営業戦略をよりきめ細かく策定する。

日経新聞

富士ゼロックス、顧客情報を迅速に把握 災害対応を強化

富士ゼロックスは災害が起きた際に、顧客の事務機を迅速に修理できる社内情報システムを年内に構築する。被災した地域に顧客がどの程度いるかや、部品がどの製品に使われているかなどのデータを素早く検索できるようにする。東日本大震災の経験を事業継続計画(BCP)の改善につなげる。

 東日本大震災では事務機を販売している取引先254カ所が被災した。被害実態を把握し、修理や部品の手配などの対策を講じるまでに7週間を要した。このため社内の複数部署に分散していた6つのシステムを接続し、情報を相互にやり取りできるように改良する。

 昨年10月までに、部品の1次調達先(約200社)を網羅したシステムをまず構築した。昨年10月に発生したタイの洪水の際にも部品不足などが生じたが、被害の把握から対策をまとめるまでの期間が3週間に短縮できたという。

 今後は取引先の緯度・経度のデータを取り込んで図示する機能を付け加え、災害発生時の影響を把握しやすくする。また年内をめどに調達先情報を2次・3次の調達先にまで拡大し、使い勝手を高める計画だ。

 システムはすべて自社で内製するため、費用は1000万円以内に抑えられるという。新システムの構築により、事務機の保守運営やトナーをはじめとする消耗品販売などのアフターサービスもやりやすくなる。

日経新聞

キヤノン、合理化を加速 4年で4000億円以上コスト削減

キヤノンは2012年12月期から4年間で、4千億円以上のコストを削減する。欧州景気や為替など経営環境の先行き不透明感が強いため、従来計画より合理化を加速する。デジタル一眼レフカメラ用レンズ工場で自動化に踏み切るほか、製品開発の効率化にも着手。収益基盤を強固にし、15年12月期の売上高営業利益率を20%以上(前期は11%弱)に引き上げる。

 円高は足元で一服傾向にあるが、会社側は現時点で今期に前期比1000億円強の営業減益要因になるとみている。価格面でも競争激化による値下げで約1100億円の収益が圧迫されるほか、主力販売地域の欧州でも景気減速懸念が出ている。

 こうした環境悪化を受け今期以降、最低でも年1000億円以上のコストを減らす。昨秋時点で、同社の4年間のコスト削減額は3千億円以上になるとみられていたが、実際は1000億円程度上積みされそうだ。15年12月期の売上高原価率は、昨秋時点で目標としていた45%(前期は51%強)よりさらに改善しそうだ。

 ロボットなどを使った自動化が合理化の主軸となる。人手による作業の削減で生産効率の改善と固定費圧縮を目指す。

 具体的には、事務機用トナーで導入を拡大するほか、一眼レフカメラ用交換レンズでも導入を検討する。自動化は生産数が多い製品ほど有効。同レンズの直近1年間の生産数は1千万本以上とみられ、トナーと並び自動化による効果が大きいと判断した。

 現在、導入するロボットの種類や自動化の工程など具体的な仕組みを試作している段階で、まず主力の宇都宮工場への導入を目指す。同工場の運用結果に応じて東南アジアなど海外工場にも広げる可能性がある。

 研究開発も効率化する。3次元CAD(コンピューターによる設計)を使い設計段階から不具合検査などを徹底。デジタルカメラやプリンターなどの分野で、開発コストの多くを占める試作品の生産台数を抑制する。同時に開発期間の短縮や部品の共通化なども進める。

 同社は15年12月期の売上高(米国会計基準)を前期比41%増の5兆円以上、営業利益を2.6倍の1兆円以上に伸ばす計画。震災や円高、景気減速などの影響で足元の進ちょくは遅れているが、一段の合理化で計画達成に弾みをつける考えだ。

日経新聞

富士ゼロックス、シンガポールで事務機運用受託サービス拡大

富士ゼロックスはシンガポールを拠点にアジア太平洋地域の企業向けの事務機器運用管理受託サービス(MPS)事業を強化する。シンガポールにおける同部門の人員を現在の約100人から、2012年3月期末までに150人に増員する。シンガポールには多国籍企業のアジア統括拠点が集積しており、同地を軸に域内展開する企業に売り込む考えだ。特に金融、製造などの大手企業に需要があるとみている。MPSは企業全体のプリンターや複合機の最適な配置を設計し、運用を受託するサービス。


日経新聞