2010年5月6日木曜日

キヤノン会長「米に開発拠点検討」 日欧と3極に

 キヤノンの御手洗冨士夫会長は3日、米国に基礎研究などを含む技術開発拠点を開設する方針を明らかにした。研究開発は日本国内が中心だったが、日米欧の3極体制づくりを目指す。「日本の研究開発は今まで通り続けるが、米国は世界の『頭脳』が集まる国。そこで新たな技術を開発し、事業の多角展開につなげたい」と強調した。

 ニューヨーク州メルビルに建設する米州本社新社屋の地鎮祭に出席、日本経済新聞の取材に答えた。米国では「当社が手がけていない事業分野の研究開発を進める。候補地は選定中。数年内に開設したい」と述べた。キヤノンは今春、欧州プリンター最大手のオセ(オランダ)を傘下に収め、高速・大型プリンターの技術を獲得している。

 新社屋は2013年に完成する予定。米国は製造業の空洞化が長く指摘されているが、御手洗会長は「技術力は最先端。オバマ政権の輸出拡大方針もあり、製造業は復権する」と指摘した。

 米国は新興国に比べて労務費が高い難点もあるが、「単一国としては世界最大の市場。(労務費を吸収できる)付加価値の高い商品が売れる」と話し、生産体制の拡充にも意欲を示した。

日経新聞
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