2011年9月16日金曜日

キヤノン、独自技術で流れ星の動画 高感度センサーで

 キヤノンは15日、独自開発した高感度CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーを使い、これまで難しかった暗い流星の動画撮影に成功したと発表した。国立天文台と東京大学の協力を得て口径1メートルの大型望遠鏡に取り付け、10等星ほどの明るさの流星を1分間で10個以上とらえた。天体観測のほか、宇宙に漂う人工衛星のかけらなど「宇宙ごみ」の監視にも応用できる。キヤノンは国内外で建設計画が進む大型望遠鏡への採用を目指す。

 CMOSセンサーは約20センチ角の大きさで、面積は世界最大という。画素数は160万。一つ一つの画素が大きいため、デジタルカメラなどに使う一般的なCMOSセンサーと比べて感度が400倍で、70分の1の明るさでも撮影できる。

 従来の望遠鏡はセンサーにCCD(電荷結合素子)を使ったものが大半で、7等星よりも暗い流星は見えづらく、10等星ほどの明るさの流星は年間で10個程度しか観測例がなかった。CMOSはCCDよりも読み書きが速く、移動速度の速い天体の観測に向く。

 流星を詳細に観測できれば、太陽系に漂うちりの量や起源などを推定でき、太陽系の進化の謎に迫れる。センサーを使って宇宙を漂う宇宙ごみを監視し、人工衛星などへの衝突を防ぐといった応用も見込む。

日経新聞