2010年10月15日金曜日

キヤノンと東レ、バイオマスプラスチック使用の複写機・複合機の外装部品を開発

複写機・複合機業界最大(※1)のバイオマスプラスチック外装部品を開発


(以下リリース記事)
 キヤノン株式会社(以下:キヤノン)と東レ株式会社(以下:東レ)は、バイオマスプラスチックを使用した複写機・複合機業界最大(※1)の外装部品の開発に成功しました。これはキヤノンのプロダクション向け複合機用のもので、世界最高水準の難燃性についても達成しています(※2)。


 植物原料由来のバイオマスプラスチックは、CO2増加の抑制や石油資源の消費量節減など、環境負荷の低減に有用な材料です。しかし、大型部品に求められる成形加工性や製品外観、機械強度、強靭性を高い次元で同時に達成する技術的難度は高く、特に、高度な難燃性が要求される外装部品への採用は困難とされてきました。
 このたび、キヤノンと東レは、東レのポリマー構造をナノメートルオーダーで制御する材料設計技術と、キヤノンの大型部品を成型できる高度な金型技術により、これらの材料特性を改良し、バイオマスプラスチックを使用した業界最大の外装部品の開発に成功しました。
 この部品は、キヤノンのプロダクション向け複合機用のもので、大きさは約640(幅)×440(高さ)mm、重さは約1,100gです。難燃性も世界最高水準のUL規格94の5Vを達成(※2)しており、同様の難燃性を持つ最大のバイオマスプラスチック部品(※3)に比べて、大きさは約11倍、重さは約6.5倍となっています。
 このバイオマスプラスチックは、従来の石油系プラスチックに比べて、製造に関わるCO2排出量を約20%削減することが期待できます。
 今回の開発の成功により、将来的には、オフィス複合機などに使用されている小型の外装部品だけでなく、プロダクション向け複合機などに使用されている大型の外装部品についても、バイオマスプラスチックに置き換えることが可能になります。
 キヤノンと東レは、今後もバイオマスプラスチックの改良を重ね、適用範囲や用途の拡大を目指して、さらなる技術開発を進めていきます。

 ※1 2010年10月4日現在。キヤノン、東レ調べ。
  ※2 米国のUnderwriters Laboratories Inc.(アメリカ保険業者安全試験所)が定めた安全性基準の1つ。UL規格94は材料の難燃性の尺度として広く用いられており、等級は難燃性の高い方から5V、V-0、V-1、V-2、HBとなっている。
 ※3 キヤノンの複合機「imageRUNNER ADVANCE C9000 PRO/C7000/8000/6000 シリーズ」に搭載されている外装部品。


<参考資料>
 バイオマスプラスチック開発におけるキヤノンと東レの協業


 キヤノンと東レは、2008年10月、世界最高水準の難燃性をもつ、植物由来成分を25重量%以上含んだバイオマスプラスチックの開発に成功したと発表しました。

 *参考画像は、添付の関連資料を参照

 植物原料由来のバイオマスプラスチックは、石油を原料とした従来のプラスチックに比べ、難燃性、耐衝撃性、耐熱性、成形性などの面で劣っていたため、オフィス用複合機においてバイオマスプラスチックを利用できる部分は製品内部のごく一部に限られていました。
 キヤノンと東レは、新たな材料設計と成形技術の確立により、これらの材料特性を改良したバイオマスプラスチック“エコディア”を開発し(※)、特に難燃性については、オフィス用複合機に適用可能なバイオマスプラスチックとして世界で初めて、UL規格94の5Vを達成しました。
 このバイオマスプラスチックは、キヤノンの複合機「imageRUNNER ADVANCE C9000 PRO/C7000/C5000/8000/6000」の5シリーズの外装部品の一部に採用されています。

 *以下の画像資料は、添付の関連資料を参照
  ・キヤノン imageRUNNER ADVANCE C5051
  ・5Vのバイオマスプラスチック外装部品(一例)


 ※“エコディア”は東レの登録商標です。植物原料由来であるポリ乳酸に、東レの独自技術を加え、難燃性、耐熱性、耐衝撃性、成形性などを大幅に改良した素材です。

参照記事
キー・リサーチ トップへ