2011年8月8日月曜日

リコー純利益53%減 4~6月、震災・円高で販売減

 リコーが4日発表した2011年4~6月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が前年同期比53%減の34億円だった。東日本大震災や円高の影響で米国や日本など全4地域の売り上げが減り、販売体制の整備でコストも増えた。12年3月期通期は為替レートを円高方向に見直し、純利益の予想を引き下げた。

 4~6月期の売上高は3%減の4661億円。主力の事務機部門の売上高が4121億円と3%減った。カラー複写機の販売台数は伸びたが、モノクロ機が落ち込んだ。カメラなどその他部門も5%減った。

 営業利益は54%減の100億円。主因は震災による影響だ。工場の稼働率低迷で固定費負担が膨らみ50億円の減益要因となった。為替は前年同期に比べ対ドルで10円強の円高が進み、34億円の減益要因。海外の販売体制拡大などで経費も増加した。

 地域別では、米国の営業損益が42億円の赤字(前年同期は9億円の赤字)に膨らんだ。1~3月期に14四半期ぶりの黒字に回復したが、部品不足で事務機の生産が減り再び赤字に転落。日本や欧州、その他地域も2けた減益だった。

 12年3月期通期の営業利益は前期比10%減の540億円、純利益は12%増の220億円の見通し。それぞれ従来予想を160億円、70億円下回る。7月以降の為替レートを1ドル=80円(従来想定は85円)、1ユーロ=110円(同120円)に設定。160億円の減益要因が発生し、営業利益は従来の増益予想から一転、減益となる。

 ただ純利益は為替差損の減少や税金負担の軽減で増益を目指す。売上高は複写機や商業印刷機器の新製品が国内外で伸び、4%増の2兆100億円を見込む。

 三浦善司副社長は「震災の影響は一過性。固定費減など構造改革を進める」と強調した。同社は3年間で1万人の削減を柱とする大規模なリストラ策を5月に発表。今期は300億円の構造改革費用を計上し、下期に約100億円の収益改善効果を見込んでいる。

日経新聞