2011年8月12日金曜日

王子製紙、ブラジルで感熱紙生産 現地大手から事業買収

 王子製紙は11日、ブラジルの紙パルプ大手からレシートなどに使う感熱紙の事業を買収することで基本合意したと発表した。買収額は3億1300万ドル(約240億円)。経済成長に伴って伸びているブラジルの感熱紙の需要を取り込む狙い。国内の紙市場が伸び悩むなか、成長著しい新興国市場への進出を加速し、収益拡大を目指す。

 ブラジルのフィブリア・セルロース(サンパウロ州)から同州ピラシカバ市にある工場1カ所と、事業に携わる従業員500人や営業拠点などを譲り受ける。詳細な条件を詰めて、9月29日までに最終合意する予定。

 フィブリアの感熱紙事業の年間売上高は3億ドル弱(約230億円)。ピラシカバ工場は王子製紙の国内販売量に相当する年12万トンの生産実績(2010年)を持つ。現在、ブラジルの感熱紙市場では過半のシェアを握るという。

 感熱紙は店のレジや銀行が出すレシートに使われ、ブラジルで需要が伸びている。紙原料のパルプ世界最大手であるフィブリアは紙事業の切り離しを進めており、南米に感熱紙の生産・販売拠点を持たない王子製紙は好機と判断した。同社がブラジルに紙の工場を持つのは初めて。

 国内の紙需要が伸び悩む中、王子製紙は中国に印刷用紙工場を建設、マレーシアで段ボール会社を3社買収するなど海外事業の拡大を急いでいる。