2010年5月13日木曜日

デジカメ8社、強気の出荷計画

10年度7~41%増、新興国開拓カギに

 キヤノンなどデジタルカメラ主要8社が強気の出荷計画を打ち出している。世界同時不況の影響を受けた2009年度は4社が出荷台数を減らしたが、10年度は全社が7~41%の伸びを見込み、8社合計で17%増の約1億1300万台に達する見通し。各社とも中国など新興国市場の開拓と、小型デジタル一眼など新しい付加価値を盛り込んだ新製品をけん引役にする考えだ。

 世界シェア首位のキヤノンは10年(同社の決算期は12月期)に7%増の2590万台を計画。4月に1月時点の見通しを20万台上方修正した。

 上方修正分はすべてデジタル一眼レフ。2月に発売した初心者向けの「EOS Kiss X4」が全体をけん引する勢いで販売を伸ばす一方、中国や東南アジアでは広告宣伝費を積極的に投入する。上級機種で富裕層の取り込みを狙う。

新興国開拓を強化するのはキヤノンだけではない。富士フイルムは昨年、コンパクト型で100ドル以下の低価格機を新興国向けに開発。昨年末までに約240万台を販売したが、10年度も低価格のモデル数を充実させる。

 オリンパスは今年3月から中国の大手家電量販店との直接取引を開始。インドのムンバイにある駐在員事務所を法人化して、デジカメの販売拠点にすることも検討中だ。

 ソニーは日本で市場が拡大している光学部品のミラーを使わない小型一眼カメラで巻き返しを狙う。一眼レフと同サイズのセンサーを搭載して高精細の画像を撮影できる新製品を6月に発売して、同分野に参入する。

 13日の決算発表で公表する出荷計画はコンパクト型だけだが、デジタル一眼市場でのシェアを現在の10%から15%に引き上げる計画だ。

 各社とも強気の姿勢だが、課題もある。新興国攻略には低価格モデルが必要だが、利幅は小さくなる。富士フイルムやHOYAは台湾の受託製造サービス(EMS)メーカーを積極活用して、コスト削減を加速する考えだ。

 デジタル一眼分野でも、韓国サムスン電子が今年参入し、競争が激しくなるのは必至だ。各社とも思惑通りの市場シェアを確保できるか予断は許さない。

日経新聞
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