2011年1月28日金曜日

キヤノン、3期ぶり増益 10年12月期、純利益87%増2466億円

 キヤノンが27日に発表した2010年12月期連結決算(米国会計基準)は、純利益が前の期比87%増の2466億円と、3期ぶりの増益だった。一眼レフカメラなどの好調でアジア地域の売上高が過去最高となり、初めて日本を上回った。生産の効率化で円高の影響を吸収した。11年12月期も主力製品の販売増で増収増益を見込む。

 田中稔三副社長は決算会見で「12年に過去最高益(07年12月期の4883億円)を更新するという目標に向け経過は順調」と語った。

 10年12月期は円高で1274億円の減益要因が発生。コンパクトデジタルカメラの単価も下落したが、アジア販売の好調やプリンターのトナーカートリッジ工場の自動化などで吸収。営業利益は3875億円と79%伸びた。

 売上高は16%増の3兆7069億円だった。地域別にみると、最も貢献したのはアジア・オセアニア。デジタル一眼レフカメラやレーザープリンターなど主力製品が軒並み伸び、同地域の売上高は32%増の8153億円と過去最高を更新した。日本は1%減の6957億円だった。

 欧米でもクリスマス商戦が想定以上で推移した。企業の情報化投資も緩やかに回復し、米国、欧州ともに2けた増収だった。業績回復を受け、年間配当は120円と前の期から10円引き上げた。

 11年12月期通期の売上高は前期比11%増の4兆1千億円、純利益は26%増の3100億円を見込む。デジタル一眼レフカメラの販売台数が18%増の700万台に伸びるほか、半導体露光装置など産業機器事業も営業黒字化する見通しだ。

 また同日、需要拡大を受けて台湾の一眼レフカメラ工場を拡張する準備に入ったことも明らかにした。

日経新聞